子どもが安心して使える薪割り道具ってあるの?
キャンプで焚き火、大人気です。
キャンプ場を見渡すと、鉈(なた)での薪割りもナイフでのバトニングもお手の物、
手練れの技で焚き火を楽しんでいる人が増えています。
いっぽうでキャンプをはじめたばかりなのでしょう、鉈の使い方があやしく、見ているほうが怖くなるという人もちらほら。
現代の生活ではよほどDIY好き、農作業好きでも無い限り、
鉈や手斧(ちょうな)に触れる機会はそうそうありませんから、
薪割りがギクシャクしていても無理はありません。
キャンプやアウトドアにおいて、多少のケガはつきものです。けれどもケガをすると一気にキャンプが楽しくなくなってしまうのも事実。
とくに鉈や手斧での薪割りは、指や手、そしてサンダル履きの足にも刃が触れる危険があり、力を込めて作業をするのでケガをしたときのひどさが違います。
そのためでしょうか、ファミリーキャンパー、女子キャンパーを中心にヒットしているのが「キンドリングクラッカー」、通称「キンクラ」です。
「キンクラ」は上向きに刃が付いていて、その上に薪を置き、スチール製ハンマーで薪をたたけば下に置かれた刃にグイグイ食い込み、薪を裂くというもの。
刃の断面は斧のような扇形で、キャンプで使う手斧よりもぐっと太くなっているため軽い力で薪割りができるというわけ。
また、上の方にリングがあるので薪の太さ・形状によりますが、少し薪が食い込めばあとは手を添えなくてもいいんです。
重い斧や刃の長い鉈を振り回すことがなく、薪を支える手をケガすることもないので、力の弱い小さな子でも扱いやすいのがファミリーに人気の理由。
まさに薪割り革命を起こした発明品です。
ニュージーランドの少女が「焚き付けを作るお母さんがケガをしないように」と考えた道具だという物語も泣かせます。
ただ、この「キンクラ」、4.8kgでφ190×H310mm。少々重くてかさばるんです。
鉈本来の使い方もできる鉈用スタンド
もう少し軽いものはないかと調べてみたらありました。
37CAMP「ハチェットスタンド」。
手持ちの鉈(厚さ8mm以下、幅65mm以下、刃渡り150mm以上)をセットすることで「キンクラ」みたいにハンマーで薪割りができるんです。
重量は2.6kgですから、鉈500g前後をセットしても3kg程度。ずいぶん軽く、キャンプに持っていきやすいスペックに仕上がっていました。
ひとりで作業しているので薪に食い込んだ状態で写真を撮り、手が映っていませんが「キンクラ」とは違い、本来は薪を手で支えないといけません。
万一、手に当たるとそれなりに衝撃があります。とはいえ、キャンパーならペグ打ちに慣れているのでまず問題なく使えるでしょう。問題は小さな子どもが使う場合。間違ってハンマーで手をたたくと大変です。大人が薪ばさみで薪を支えてあげるなど工夫が必要です。
さて、実際に使ってみると非常に軽い力で薪を細かく割れることに驚きました。
鉈で焚き付けを作るときは、狙ったほど細く割れなかったりしますが、これは落ち着いて刃に当てられるので狙い通りの太さにできます。これが楽しい。
無心にたたき割り、気づけば大量の焚き付けができていました。
当然のことですが、切れ味は手持ちの鉈によります。刃の厚み8mm以下の鉈をセットするので、極太の硬い薪は刃の下部がぐっと厚みのある「キンクラ」に分があります。
また、長い薪の場合、刃が途中で止まってしまうことがありますが、そんなときは「ハチェットスタンド」ごと薪をひっくり返し、「ハチェットスタンド」をつかんで薪を地面にたたきつけることで最後まで割れます。力業といえば力業ですが、これくらいラフなほうが道具としての可能性というか遊び心を感じてニヤリとしてしまいます。
「ハチェットスタンド」の場合、枝打ちしたい、鉈で薪割りの練習をしたいときは鉈を取り外して作業ができることも魅力でしょう。
子どもがお手伝いするときは「ハチェットスタンド」に鉈を取り付けて、お父さんがかっこつけたいときは鉈を取り外して薪割りができるというわけ。
また、刃のガードが付いていますが、使用後は鉈を取り外してケースに入れてクルマの中にでもしまい込めば、子どもが勝手に触れてケガをする危険を防げます。
極太で硬い薪を使う頻度が高い →キンクラ
たまには鉈を使いたい →ハチェットスタンド
そんな感じで選べばいいのではないでしょうか。
大森弘恵
フリーランスのライター。記事のテーマはアウトドア(おもにファミリーキャンプ)、旅行、ときどき料理。バイクキャンプ、ツーリング、雪遊び好き。