コラム

焚き付け作りの道具を探す③

のこぎり選びでは替刃のラインナップにも注目


 
コンパクトな焚き火台が人気です。
小さくて軽く、持ち運びしやすいんですが、市販の薪をそのまま使えないものも多いんです。それではどうするかというと、薄く割った薪をブーツで踏みつけて折るか、のこぎりで切るかの2択となります。
 
ただ、折って短くした薪は薄く、火持ちが悪いのが難点。
面倒でも市販の薪を半分に切って焚き火にくべるほうが断然火持ちがいいんです。
今回はコンパクト焚き火台とセットで持ちたいのこぎりの話。
 
鋸(のこぎり)で木を切るとき、木目と平行に切る「縦挽き」、木目に対して直角に切る「横挽き」と言い、それぞれに適した刃の形がありますし、木材・竹・金属・プラスチックなど、切る素材によっても適したのこぎりは異なります。
 
また、小型ののこぎりは取り回しやすいのですが、刃が長いほど楽に切断できます。自宅の工房でDIYなんて具合に余裕があれば用途別にそろえるといいんですが、
キャンプでは何本ものこぎりを持っていくのは大変。
 
そこらへんのことはメーカーだって百も承知で、“アウトドア用”“キャンプ向き”として
縦・横・斜めどんなふうにも切れる万能タイプで刃長150〜250mm程度のモデルを推奨しています。
 
替え刃式のこぎりは、同シリーズのほかの刃を付けられるようになっていることが多いようです。
 
切れ味が悪くなったら新しい刃に替えられますし、竹用の刃だけ用意して必要なときだけ付け替えることもできるんですからコスパよし。
 

直刃を曲刃に替えてみた


 
また、同じ木材用の刃でも、刃がカーブを描いている「曲刃」とまっすぐな「直刃」があります。曲刃は刃が自然に木材に食い込むので軽い力で切れるのですが、刃の先端が引っかかって動かなくなることがあるそうで、一方の直刃は力の入り方が一定……といわれていますが、シルキーサムライといったのこぎり製造に特化したメーカーの製品は独自設計の刃を開発していて、市販の薪を短く切る、手元の枝を切るくらいの作業であれば曲刃が動かなくなることはほぼありません。
 

 

 
試しにポケットボーイに曲刃「ポケットボーイカーブ替刃」を装着してみました。直刃よりも軽い力でぐいぐい切れます。刃の曲線具合がゆるやかで、ハンドルも滑りにくいゴム製とはいえほぼストレートのためサムライほどの軽やかさではありませんが、黄色いハンドルの「ポケットボーイカーブ」に買い換えずともこの軽い切れ味を体感できるのが替刃式ならではのメリット。
 
  
 
ただし、ポケットボーイはその名の通り、ポケットに入るほどのコンパクト設計で持ち歩きには便利なのですが、竹向きの厚めで細目の刃がありません。
竹を使うことが多いなら、少し大ぶりではありますが「ゴムボーイ」のほうが曲刃や竹向きの刃に替えられるので重宝しそう。
 

世界に誇る日本ののこぎり

よく言われることですが、日本ののこぎりは引いて切り、西洋ののこぎりは押して切ります。
押して切る西洋式のこぎりは結構な力が必要ですが、日本ののこぎりは薄い刃を使っていて軽い力で木を切断できると海外でも高評価。海外キャンプに持っていくと高い確率で現地のキャンパーにうらやましがられます。海外ブランドの見目麗しいのこぎりもいいですが、せっかくですから世界が憧れるメイド・イン・ジャパンののこぎりを手にしてはどうでしょう。
 
シルキー、サムライを生んだ兵庫にはほかにもレザーソーがありますし、金物で有名な新潟にもシャークソーやユニフレームなど優秀な鋸があります。それぞれに個性があるので、手に馴染む道具を探すのもキャンプの楽しみです。
 


大森弘恵
フリーランスのライター。記事のテーマはアウトドア(おもにファミリーキャンプ)、旅行、ときどき料理。バイクキャンプ、ツーリング、雪遊び好き。