コラム

焚き付け作りの道具を探す①

薪割りに『くさび』ってホントに使えるの?

 

2020年春、神奈川のアウトドアショップ「グッドオープンエアズ マイクス」でTRIPATH×myX別注「TW-KUSABI」という薪割り用のくさびが発売され話題となりました。


 
キャンプで薪割りというと鉈(なた)や手斧(ちょうな)を使うのが一般的です。
 
どちらも木目を見て刃を当て、最初に軽く鉈や手斧を振って刃を食い込ませたら、あとは薪ごと硬い台に落とすように打ち付けていきます。
 
鉈なら薪で刃をたたくバトニングも有効なのはご存じの通り。
 
手斧も鉈も、ナイフでバトニングするよりもパワフルですし、
ちょっとサイトにあるだけでカッコイイ。
 
ですが、キャンプ場で販売されている薪はそれほど太くはなく、薪割りといっても10本ほどを半分〜4等分すればそれで薪割りは終了。
 
なんなら薪の束に焚きつけ用の細い薪が詰められている場合も多いわけです。
 
それでいて重量は800g〜1kg、
お守り代わり+インテリアとして持ち運ぶには、少々重く感じます。
 

キャンプ向きに開発した薪割り用くさび

 

 
話題となった「TW-KUSABI」のTWとはたたき割る。
 
鋳鉄製のペグハンマーと併用することで薪をたたき割る道具です。
 
自宅に薪ストーブがあるなら「ああ、アレね」と
ピンとくると思いますが、2本のくさびを丸太にねじ込んで使うアレ。
 
 
ホームセンターでも通販サイトでもいくつかの「薪割り用くさび」が販売されていて、斧で割るのが難しい丸太でもメリメリ裂けると評判です。
 

 
ただし、従来からある「薪割り用くさび」(写真右)は先端がとがっておらず、500gのペグハンマーではハンマーがはじかれ、薪に差し込むことすらできません。
 

 
軽量化と安全性を考えて、キャンプで鉈を「薪割り用くさび」に代えるにはメリットがなさすぎ。DIY好きの先人はサンダーやグラインダーで先をとがらせて使うなど工夫をしているわけですが、一般キャンパーの自宅には電動工具などありませんから、今のところ、このテのくさびを選ぶなら「TW-KUSABI」一択と言えそうです。
 

 
長さ20cm、厚み2cm、約650g。
「TW-KUSABI」の場合、先端がほかの「薪割り用くさび」に比べて先端が鋭利。そのため、鋳鉄ペグ対応の重量感あるペグハンマーと「TW-KUSABI」で薪割りができるんです。
 

 
ペグハンマーであれば多くのキャンパーが持っていますし、スリムな形なのでペグといっしょに持ち運べます。重量もわずかですが軽量化に役立つというわけ。 


 
実際に使ってみました。
薪に「TW-KUSABI」を当て、ペグハンマーで「TW-KUSABI」をガンガンたたきます。
 
針葉樹の薪であれば問題ありませんが、広葉樹の薪はやや苦手。
 
当然ですが節があると苦労します。
ペグハンマーの重量は670g。
 
広葉樹だと進みが悪く、1.5kgのスチール製ハンマー(ペグ用ではない)に変更するとガツガツ割れました。
とはいえ、針葉樹の薪であれば問題なし。
 
使い慣れたペグハンマーで気負わず取り組めるので刃物に慣れていない人も安心して使えますし、バイク旅、徒歩キャンパーでも持っていきやすいのも魅力です。
 
あくまで個人的見解ですが、キャンプでの使用感は ・・・・
 

刃物の扱いが苦手でも安心!
荷物を軽くできる →薪割りくさび
薪割りのほかに枝打ちもできる、手斧より軽くて持ち運びやすい →鉈
鉈よりもパワフル、デザインよし →手斧

 
といったところでした。
 
「TW-KUSABI」は初回分が完売となってしまいましたが、年内に再販売の予定があるそう。小さな子がいるキャンプではすぐそばに刃物があると気が気ではありませんし、小さな子がいなくても、なるべく安全で楽に薪割りをしたいもの。楽しみに待ちたいですね。
 


大森弘恵
フリーランスのライター。記事のテーマはアウトドア(おもにファミリーキャンプ)、旅行、ときどき料理。バイクキャンプ、ツーリング、雪遊び好き。