1982年刊行の本ですが、このたび2021年1月に復刊とのことです。
アウトドア初心者というよりも、初心者から脱却を図る方、中級者に向けた内容でしょうか。
基本は登山する人向けに書かれていますが、テントの種類や料理道具、焚き火の仕方や、ロープの結び方、悪天候やクマの注意点など、キャンプをする人にとっても興味のある内容が載っています。
「キャンプを始めてみたけど、そろそろ自分のスタイルを作ってみたい」
そんな人が読むと、いろいろな気づきが得られるかと。載っている古いクッカーを、フリマアプリで検索すると、どえらい額になっていたり……。古い本ならではの、そんな楽しみ方もできます。
40年前の本ということで決して読みやすいとはいえないのですが、何よりも、シェリダン・アンダーソンの趣深いとしかいえない挿絵と、長年の経験と膨大な知識に裏打ちされた田渕義雄の脚注コラム(といってもこの脚注コラムだけで1冊の分量になるのですが)は、時代を超えて、読む人をウキウキさせてくれます。キャンプに行き、夜にランタンの光で、興味があるところだけをパラパラと読み、寝つけば、キャンプ周辺の新たな趣味を見つけるきっかけになるかもしれません。
文・中野一気