コラム

エアフレームテントを使ってみた⑥


 
キャンプ用のテントといえば、ドーム型やロッジ型、ワンポールなどいろいろありますが、どれも金属製のフレームを用いて幕を持ち上げていますが、
ここ数年、密かに数を増やしているのがエアフレーム。
チューブに空気を入れることで設営するというものです。
 
1990年代半ばに「モビ・エアコテイジ」シリーズというドーム型のエアフレームテントが販売されていて、販売価格は8人用のドームアールが25万円、
6人用のドームエスでも22万円。
 
当時、小川テントやマルシャルのロッジ型テントが20万円前後でしたが、
コールマンのスタンダードドームⅡが6万5000円、
スノーピークのSPドーム6が9万8000円、モスのビッグディッパーが
12万6000円で、ドームテントでは飛び抜けて高価でした。
 
そのためでしょうか、後に続くブランドがなく、いつの間にかエアフレームの
テントはなかったものにされました。
 
2000年代初期にアメリカのニーモ・イクイップメント、2011年にドイツのヘイムプラネットが空気を使ったテントを発表して世界の話題に。
 
そして今、まだまだ数は少ないですが、ロゴス、ハイランダーなど日本のブランドもエアフレームテントを手掛けるようになったのです。
 
 
    
 
エアフレームテントは今後もぼちぼち増えそうですが、何が魅力なのでしょうか。
ロゴスのエアフレームテントをたててみました。
 

重いけれど設営の悩みはなし

 


 
組み立てサイズは630×380×H215cmというビッグサイズで、重量は28kg。
一般的なファミリー向きテントは10kg程度ですからほぼ3倍。
クルマから下ろすときは、子どもを持ち上げるような感覚です。
 
押しても引いても空気が入るダブルアクションの空気入れ付きです。
 

 

 
本体を地面に広げ、チューブに空気ポンプを差し込んだら、あとはひたすら空気を
入れるのみ。このテントは1か所から全部のチューブに空気が入るので、
移動する必要もありません。
 

 
最初にバルブがしまっていることを確認しておきましょう。
バルブが開いていることを知らずに空気を入れていて、どうやっても立ち上がらず
挫けそうになりました。無駄な20分を費やしてしまいましたが、
バルブを確認した後は10分もかからずすべてのチューブに空気が入ります。
別売の電動ポンプならもっと苦労しないでしょう。
 

 
親子6人就寝できるインナーテントを取り付けても、約400cmものリビングが
ある特大サイズですが、キャノピーポールを取り付ける以外、空気を入れるだけ。
どのポールをどこに取り付けるか悩むことなく、初見でも楽に設営できました。
 

 
小さなテントならひとりで設営できますが、ビッグサイズの場合、
ひとりが空気を入れ、もうひとりが軽くチューブを持ち上げるようにしないとチューブが折れてスムーズにことが進みません。ただ、写真のように小さな子でも安全にお手伝いができるのでファミリーにはいいかも。
 
また、背が高いテントはフライシートをかけるのが大変だし、
フライシートのベンチレーターの調整やうっかり付け忘れたリッジポールの処理に
苦労するのですが、そんなドタバタとは無縁です。
 

風に強くブレにくい

 

 
気になるのはチューブ部分でしょう。空気がもれないためにかなりしっかりした生地を使っています。指定の空気量をいれていれば、手で掴んでも潰れることはありません。説明書によると万一、穴が開いても3か所ロックが付いていて空気の流出を止めるそうですが、これは試していないのでどの程度の効果があるのかはわかりません。
 
ただ、空気が入ったチューブなのでポールが折れることはありませんし、
間違えたところにポールを差し込んでポールが変形するなんてこともありません。
また、比較的太めのチューブなので風に押されてもブレにくいように感じました。
 

撤収は細部まで空気を抜くのがポイント

 

 
撤収はバルブの中央のツマミをへこませれば勢いよく空気が吹き出し、
あっという間にぺたんこになります。

ただ、幕が地面に落ちた状態であってもチューブの中には少しだけですが空気が残っています。

これを完全に抜かないと、収納袋に収まりません。
チューブの向きを考え、一度幕を丸めて押し出してから、ふたたび広げて収納袋のサイズにたたむ必要があります。決して重くはありませんが、雨の日にこの作業はつらいかも。
 
よく似た大きさの金属ポールを使う2ルームテントと比べてみると、
総重量はあまり変わらないのですが、幕を広げる時などにタフなチューブの分だけ
ズッシリとした幕の重量が腕に伝わります。
 
また、ポンプを忘れると設営できないことも気になる点。
けれどもエアフレームテントは初見でも楽に設営できます。

とくに風の影響を受けやすい大型テントはポールが何本も必要ですが、
エアフレームならあれこれ悩まずにすむので子どもの様子を見ながら作業できますし、いっしょに設営だってできます。
重量を気にしないなら、なかなか便利なプロダクトと言えるでしょう。
 


大森弘恵
フリーランスのライター。記事のテーマはアウトドア(おもにファミリーキャンプ)、旅行、ときどき料理。バイクキャンプ、ツーリング、雪遊び好き。