コラム

ゼロから始めるソロキャンプ その11イワタニのガスバーナーで冬ソロキャンプのらくらくリベンジをする~前編 チャークロスと焼き芋を作る~

埼玉県にある人気っぽいキャンプ場で、イワタニのガスバーナーを初おろし

 

前々回に初の冬ソロキャンプの失敗したものの、前回でイワタニのガスバーナーという強い味方を手に入れました。
 

ということで、今回は、ガスバーナーで調理、焚き火で暖を取る、と分けた冬ソロキャンプを決行したいと思います。
 
前回は千葉県でしたから、今回は別のところにしようとインターネットの海を徘徊。はじめは、東京の奥多摩で探したのですが、電話してみると通年でやってなく、冬季は休みのところが多数……。そこで、両隣の県(神奈川県・埼玉県)に範囲を広げ、東京23区から向かいやすい場所を探してみました。
 
すると、埼玉県に、高速(関越自動車道)を使って1時間ちょっとで行ける月川荘キャンプ場を発見。通年でやっているので、冬キャンプもオーケーです。グーグルのクチコミ数を調べると、2月某日現在で、271個も評価がついています。
 
これって人がわんさかいる、高規格キャンプ場ってやつじゃないのかしら? と思ったのですが、先日の千葉県のキャンプ場のように、評価数(と広さ)の割には平日でも意外に人がいるということもあります。あまり深く考えず、とりあえず予約の電話をしました。すると、「うちは事前予約制ではなく、当日、来てもらって順番に入場するシステムです。明日? 明日なら平日ですし、多分午前中までに入れば、満員になっていて入れない、ということはないと思いますよ」とのこと。
 
ということで、冬ソロキャンプのリベンジは、この月川荘キャンプ場に決めました。
 

◇    ◇    ◇    ◇
 

着いたのは朝8時。インターネットには営業が9時から、チェックインは10時からと書いてありました。こういう人気っぽいところは、早く来ないと痛い目見ますので。
 
ただ、いつも途中で済ませてくるトイレはできませんでした。ということで、先にトイレを貸してもらおうと受付から出てきた管理者と思われる方に声をかけると、「あ、来られているなら、今日は先に入っていていいですよ」とのこと。
 
ということで、受付に向かうと、受付にヒロシさんの『ヒロシのぼっちキャンプ Season2』の写真と、日刊ヒロシちゃんねるの動画のキャプチャーが張られていました。 え!?
 

ーーあの、ヒロシさん、ここに来られたんですか?
 
キャンプ場運営者 ええ。先日番組の収録で来られたんですね。
 
ーーそうですか……。ちなみに、ここけっこう芸能人のサイン飾られていますが、サインは?
 
キャンプ場運営者 あぁ、なんかサインはしてくれませんでした笑

 
『ヒロシのぼっちキャンプ Season2』(BSーTBS)を観ている方ならわかると思いますが、2月23日放送のものが、ここ月川荘キャンプ場のものでした。本当に、偶然、取材場所がかぶってしまいました。
 

こんなところにまでサイン色紙が! なお、ヒロシさんがサインしない理由は、「いや、悪気があるわけじゃ本当にないんですけど、前にサインしても、その後売れなくなった後に行ったら俺のが剥がされていて凹んだということが多々あったのでね。どうせサインしても、俺のなんか、またすぐ剥がされちゃいますからね」(ヒロシ談)。

 
1泊分の料金1880円(入場料300円+持ち込みテント料880円+駐車場700円)を支払って、中に入ります。安いですね。ちなみに受付前のトイレですが、簡易式水洗トイレと和式水洗トイレが男女別でありました。紙の備え付けはありましたが、衛生的な環境については期待せずに、覚悟をしたほうがいいレベルでした。気になる人は、高速を降りてしばらくするとコンビニやガソリンスタンドがあるので、そこで買い物や給油した際にお借りして、出し切ってくればいいかと思います。
 
まずは、キャンプ場の中を歩き回ります。ここは、落ち葉が多い林間の場所は直火禁止ですが、川原の場所や木がまわりにない土の場所は直火オーケーの場所もあり、それらから自由に選べるフリーサイトとなっていました。車が入れるオートサイトも別であり、かなり広めのキャンプ場ではないでしょうか? まぁ、行ったキャンプ場が数ヵ所しかないので、比較できず、いまいちわからないのですが。
 
一通り回ったところで、ソロキャンパーひとりしかテント設営をしていなかった川原のサイトを選びました。
 
先日は初めてのフルクローズテント(完全に閉められるテント)の設営に1時間ほどかかってしまったツーリングドームST。今回は、2回目なので20分ほどで展開できました。
 

先日も載せましたがツーリングドームSTの設営方法は、
ヒロシさんのこの動画を参考にしています。

 
ただ、硬い地面にもブチ込める頑丈なスチール製のペグを打とうとしたのですが、石に当たって入りません。
 

これ以上どんなに頑張っても下に石があるようで入らない。

 
そこについては、ちょうど『ヒロシのぼっちキャンプ Season2』の奥多摩の回か何かで、ペグを打てない場所では思い石にくくりつけるというのをやっていたんですよね。
 
ということで、焚き火の火を起こす際に使う焚きつけ用に買った麻紐を使います。
 

丈夫なので、こんな時にも使えます。

 

大きい石も適度に転がっていて、探すのに困りませんでした。

 
最後にお気に入りのコールマンのインフィニティチェアを展開すれば、完成です。
 

今回こそ、このインフィニティチェアで幸せなひと時を過ごします!

 
なお、今回は、焚き火の燃料も、現地で拾うことにこだわらず、キャンプ場にて600円で販売していた薪を購入しました。というか人気キャンプ場ですから薪を拾うのはちょっと無理があるかなぁと。
 

ソロでしたらひと束で一泊は十分かと思います。

 
ここまでゆったりして準備していましたが、まだ10時を回っていません。いやぁ、早く来ると、心に余裕も出てきますね。
 
そこで、まずは千葉県のキャンプ場の際に買っていたインスタントコーヒーを作ることにしました。もちろん、イワタニのジュニアコンパクトバーナー CB-JCBを使うためです。
 

ちなみに、ダイソーにて100円で買った、シェラカップの形をした何か(網の上の左側に置かれているもの)、も使うのは初めてです(これは直火オーケーはうたっていない商品です! 自己責任で使っています)。

 
しかし、ガス缶を接続して着火しても、火が着いているのかどうか、いまいちわかりません。そこで、ガスの量を増やすために少しガスの元栓を開いて、着火したら、一瞬で目の前に40センチほどの炎が上がりました。慌ててガスの栓を閉めて消しましたが、自分のように初めてガスバーナー使う方は本当に注意です。着けた場所が悪ければ、テントに延焼なんてことにもなりかねません(もちろんテント内での使用は厳禁です)。
 
・点火する際はガスの栓を少しだけプラス方向に展開した後に素早く点火スイッチをつける。
・火がつかなかった場合は、すぐに栓をマイナス方向に完全に閉めて、やり直す。

 
これを徹底しましょう。昼間はまわりが明るいため、まったく火が見えませんでした。ちなみにインスタントコーヒーの味は、いまいちわかりませんでした。
 
お昼までのひと時。インフィニティチェアで寝そべって、持ってきた、ふかわりょうさんの『世の中と足並みがそろわない』を読みます。いやぁ、チェアも本も、暇をつぶすのに最高の一品でした。
 

  
 

焚き火で、チャークロスを作ってみる

 
お昼を過ぎたので、本日持って来たラーメンを作りたいと思います。持って来たのはインスタントラーメンとそれに入れる温泉卵です。これもイワタニのジュニアコンパクトバーナー CB-JCBで作って、3分で調理完了です。ガスバーナーは火力が強くて怖いですが、ラクですね。
 

汁を吸って麺が伸び気味に。でもそれがインスタントラーメンの旨さだったりしますよね。

 
なお、10時、そしてお昼と、時間が経つに連れて、続々とキャンパーたちが来ます。川原のサイトにも、2人組キャンパーやソロキャンパーたちが、降りてきました。すぐ隣で、2人組キャンパーがパップテント(軍人が使うもので、床部分は布がないので地面がむき出しになるテント)を張って薪割りをするなど、さすが人気のキャンプ場。寒い冬でも、一人静かに、というわけには行きません。そう考えると、先日行った千葉県の少し小さめの勝古沢キャンプ場は、やはり穴場キャンプ場といって、よかったのかもしれません。
 

人気キャンプ場なので、場所を独占というわけにはなかなか行きません。

 
しばらく、インフィニティチェアで橋本治の『「原っぱ」という社会がほしい』を読みます。なお、野外で長く寝そべっていると、冬(取材日は2月)だからか、腰と背中が冷えてきます。ということで、キャンプテンスタッグのキャンプマットを敷いてみました。
 

こう見ると不格好ですが、上から寝てしまえば気になりません。

 
これだけで、背中から来る冷気が遮断されるので、快適度がかなり増します。
 
14時を回ったので、そろそろ焚き火をしたいと思います。これも、実は勝古沢キャンプ場で焚き火が成功していたらやる予定だったのですが、今回、着火の際に使うチャークロス(炭化させた綿100%の布のこと)を作ってみたいと思います。
 

勝古沢キャンプ場で、写真だけ撮っていました。

 
自分はまだファイアスターターや火打ち石を使っていないので、このチャークロスを使うのは当分先になるのですが……。ただ、チャークロス作りは『ヒロシのソロキャンプ』の本でも、ずっと気になっていたんですね。
 
ユニクロの分厚いTシャツを何枚も持っているのですが、着古して汚くなったものの下半分を切って、この100均で買ったスチール缶に詰め込んで持ってきました。
 
よいよ焚き火。今回は、ドンキで買った着火剤もあるし、薪もあるので、これなら簡単に火が起こせる! ……と思っていたのですが、結論からいうと、ちゃんと火が起こせるまで2時間かかりました。
 
火起こしまで時間がかかった理由を3つまとめると、以下みたいな感じです。
 

火起こしまでの時間がかかったと思われる理由その①

着火剤がよくなかった

 
まず、ドンキで売れ残っていた着火剤でしたが、この火付きが、けっこう悪かったんですね。これ、箱の中でビニールが破れていたので、初めからしけってしまったのかもしれません。火がついても、すぐに消えちゃって、薪に炎が移るまで、持ってくれませんでした。
 
これについては、この後、キャンプ場の受付にて300円で買った「文化たきつけ」なる商品がすべて解決してくれました。
 

受付でこれが売っていなかったら、また最悪なことになっていました。

 
以前にヒロシさんに着火剤の話をうかがった際、名前が出ていたものなので、ピンと来ました。北海道の丸美富士屋商店という企業が生産している着火剤です。びっくりするくらい、燃えます。
 
ここに来るまで、何度か100円ショップで買ったバーベキュー用着火剤を使って、焚き火に挑むものの、着火剤にすらなかなか火がつかないということを味わってきました。
 

こんにちわ。辛酸なめ夫です。

 
これについては、ヒロシさんにも指摘された通り、そもそも火の付け方が悪かったんで、自分に落ち度があったわけですが、ただ、この文化たきつけは、マッチの小さな炎がついた途端に、でかい炎が瞬時に生まれます。はじめ、3つほどまとめて入れてしまい、焚き火台の上で炎が上がりすぎて、焦ったほどです。
 
これからは、100円ショップではなく、こちらの文化たきつけ、を買おうと思いました(100円ショップのものも、しけってしまっていたのかもしれません)。
 

火起こしまでの時間がかかったと思われる理由その②

薪はかんたんに火がつくものではない

 
これ、知っている人にとっては「当たり前だろ」と笑われるのでしょうが、乾燥した薪であれば、多少太くても着火剤で燃えるのでは? と思っていたんです。でも、そうじゃなかったんです。『ヒロシのソロキャンプ』で、そこはちゃんと説明されているのに、なぜか頭に入っていませんでした。着火剤と太い薪の間をつなぐための、細い枝的なものが必要なわけですよ。
 
ただ、まだナイフやナタなど持っていません。ということで何をしたかというと、麻紐を使ったり、太い薪の端を指でむしって細い枝的なものをこしらえたりと、試行錯誤しましたが、結局、太い薪に炎を移すことは叶いませんでした。そこで、受付で買った文化たきつけが、想像以上の働きをしてくれたおかげで、やっとこさ、薪に炎が移って、焚き火ができた、という流れです。
 

火起こしまでの時間がかかったと思われる理由その③

焚き火の知識・経験不足

 
はい。これがそもそもの最大の理由ですね。上記の①と②も元にあるのは、自分の知識・経験不足です。
 
焚き火ができたところで、話をチャークロス作りに戻します。といっても、スチール缶の隙間(蓋に開けた穴や蓋の端)から炎が出てくるのですが、それが出てこなくなるまでひたすら待つだけなんですね。
 

とりあえず上に置く

 

あとは景色を眺めているだけ

 
30分したら、炎が出てこなくなったので、焚き火から外して十分に冷ました後に、蓋を開けてみました。
 

蓋側が燃えていません。

 

下側は燃えています。

 
中途半端な燃え方をしていました。上にも熱源がないとこうなってしまうのでしょう。
ということで、再度蓋をして、今度は燃えている薪の下に置きます。
 

缶の隙間から炎が出ています。

 
しばらくして、焚き火から外し、また十分冷めた状態で蓋を開けてみました。
 

煤で真っ黒になったスチール缶がかっこいい!

 

完璧!

 
はい! できました! これは完全にチャークロスですね。ちなみにこの後、家に帰ってからピンセットがわりの毛抜きとハサミを使って、小分けパックにした様子が以下です。
 

毛抜きでつかんでいる理由は指が真っ黒になるのが嫌だったのと、あとは手で触るとボロボロと砂のようにすぐ崩れるため。ちょっと焼き過ぎだったのかもしれません。

 

手でちぎると、砂のように崩れるので、はさみで丁寧に切り取ります。

 

果たして使えるかどうかはわからないのですが、これだけいっぱい小分けできました。小分けパック(チャック袋)は、ダイソーで85枚入りを100円で買いました。

 
さて、小腹が空いてきたので、おやつタイム。これも、先日のキャンプ場でできずじまいで終わった焼き芋にトライ。
 
しかし、あの日買ったアルミホイルを持ってくるのを忘れてしまいました。スマホで「焚き火」「焼き芋」と検索しても、水で濡らしたキッチンペーパー(もしくは新聞紙)の上からアルミホイルを巻くというやり方しか探せません。
 
ただ、昔、アニメか漫画で、落ち葉の中に芋をそのまま入れて、最後は枝で芋を刺して、それを食べる、みたいなものを観た(読んだ)記憶があったんですね。なので、とりあえず、網を敷いて、その上にそのまま芋を置いて、焼いてみることにしました。
 

火と芋は適度な距離ですかね。

 
低音でじっくり2時間焼くとかの焚き火焼き芋レシピが散見されたのですが、1時間ちょっと焼いた表面をトングでつつくと、少しぶよぶよした感触になっていました。
 
あれ? これできているんじゃない?
そう思って、冷めてから割ってみたのが以下です。
 

!!!!!!

 
完璧に焼き芋ができあがっています! しかも、すごくおいしそう!
 
ということで、日が落ちる寸前ですが、焼き芋まで完成させることができました。今回の、調理することと暖を取ることを分けるという戦略、これはとりあえず成功したといってもいいかと思います。これは、若洲公園キャンプ場で、グリーンシートとポールを使ってタープテントを張った時以来の成長ぶりな気がします。ソロキャンプレベルが1から5くらいまで一気に上がった感じが!
 
前半はここまで。後半では、晩御飯と夜間、そして翌朝の様子をさらりとレポートします。
 

    
 
(文・写真/中野一気)